8月21日(金)は映画監督の平岡香純さんの自宅で、映画「プリミ恥部な世界」の住み開きライブ上映を行いました。この作品はスクリーンに映し出される映像や音声と同時進行で、「プリミ恥部」名義で音楽活動をされている白井剛史さんがボーカル/ギターを、平岡さんがドラム/ピアノを演奏するという、なんとも斬新な「映画+音楽ショー」となっています。主に映画館やライブハウスで上映されている作品ですが、今回は自宅での上映という初の試みです。
上映の前には白井さんによる夕食タイムが設けられましたが、普通の自宅部屋に15人もの人が集まったので、ギュウギュウ詰めでちょっとした混乱状態。注文を聞いてくれる人、お皿を運んでくれる人と、参加者の方にも自発的に協力していただき、夕食を終えた頃には、まるで昔から知っている友人の家にフラッと遊びにきたような、リラックスした雰囲気が自然に生まれていました。
お二人が衣装に着替えたところで、いよいよ上映スタート。神様と暮らす花売り娘のお話が色彩的な映像と共に語られます。白井さんと平岡さんは自身が映画音楽としての役割を担うだけでなく、近くの参加者にも適当なタイミングで楽器を渡し、ある程度即興的に音楽作りに参加してもらっていました。また、お二人は映画と連動したパフォーマンスも同時に行われ、狭いスペースの中をたびたび移動されるので、参加者は身体を寄せて道を空けなければならず、色々やる事が多くて忙しそうです。とは言っても、集中して作品を鑑賞できないことを嫌がる様子ではなく、何故かとても楽しそうにされていました。
平岡さんは「その日の会場によってカットの順番を変えたり、省略する箇所があったりする」と、作品の柔軟性を確保していることをお話されていましたが、自宅という親密な空間の中で上映することで、作品(音楽演奏・パフォーマンスも含めて)と鑑賞者との距離が限りなく近づいているように感じました。
特に象徴的だったのは、謎の言語を話す着ぐるみパンダが映画に登場するシーン。映画とリンクするように実際の着ぐるみパンダ(正体は平岡さん?)が会場に現れて、参加者とコミュニケーションを始めた瞬間でした。「狭い部屋の中で着ぐるみパンダと身振りで会話し、スクリーンの中のパンダを一緒になって見ている」という、作品世界と現実が混合した不思議なシチュエーションが、会場全体に妙な高揚感をもたらしていました。 上映終了後、参加者からは「上手く説明できないけど、すごく楽しかった」「作品を見ている側なのに、自分をさらけ出しているような気がした」という声が聞かれました。あらかじめ用意された映像や演奏を一方的に鑑賞するという役割が曖昧になり、各人がこの作品に何らかの形で貢献しているような感覚を呼び起こしたのは、あまりに身近すぎて軽視されがちな、自宅という場の持つ可能性と言えるのではないでしょうか。
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